Thank You Mr. Falker: Written and Illustrated by Patricia Polacco
好きだった先生がいる。
中学1年生の時の担任、というより中学3年間の国語の先生。
好き、というより当時は真剣勝負の相手だった。
先生の授業は、いつもほとんどの生徒が起立していた。
「…がどうしてなのか。わからないやつは立て~。」
授業はこの問いかけで構成されている。
座っていると、当てられ、答えられなければ、うそつきになる。
私はいつも座っていた。
「わかる人は手を挙げて。」
と言われると、わかっていても挙げないタイプ。
座り続けるだけなら意思表示も少し、楽。
いつも座っている生徒が私ともう一人いた。
私と違うのは、彼女はいつも正解を言うこと。
当時から Only One 趣向の私は、模範解答どおりのことなんか言わないのだ。えへん。
(単に答えをはずしただけ?)
3年の間に、私は答えを求めて考えるのが好きになっていた。
この先生は人気がなかった。
冬でもはだしにスリッパ。おじさん、と呼べる年齢。
生徒にはまったく媚もせずまっすぐに国語を教えてくれた。
当時は先生へのお中元も許されていたので、母は北区まで届けてくれた。私が先生になればよい、とおっしゃってくださったようだ。
それだけは、無い。ずっとそう思っていた。
卒業してからは一度もお目にかかっていない。
大学では、これも授業料のうちと教職課程をとったが、なる気もないのにがんばれるはずもなく、早々にあきらめた。
40人の生徒を相手にできるほど自分がタフでないことは知っている。当時は子供も苦手だった。
で、今なぜか英語を教える立場にいる。
20年以上教えていて、授業が嫌だと思ったことは一度もない。
楽しいことしかしたくないので、楽しくなるように教えている。
楽しくできるのだと感じてほしい。
学校英語に苦しむ人を助けたい。惰性と信じ込みで、効果がないとわかっている授業を何世代もいつまで続ける?
英語は人生を楽しくするツールなのに。
駆り立てられるように進んでいる。
私は生徒のことを好きになれる。
これが自分で感じる先生としての資質。
だってみんな変なんだもの。面白くって好きになれずにおれません。
こちらの気持ちは通じるもの。嘘がないのは強い。
英語を媒体に、伝わるものがあると思う。
たまに卒業生から「おかげで英語が好きになった。」と聞くことがある。これ以上うれしいことはない。
中学校時代の国語の先生に会えれば、『おかげさまで、今の自分がいます。」と是非、感謝の気持ちを伝えたい。
でも多分、もう会うことは無いだろう。
だから私は自分の教室でベストを尽くす。
もう私は先生からいただいているのだから、次に伝えればよい。
私の生徒がもし感謝の念を感じてくれたとしても、それが私に伝わる必要はない。私はもう満たされている。
次に伝えてください。
これは親と子の関係に似ている。
自分が報われるかどうかはどちらでもよい。
報われるに値することをするかどうか。
自信なんか無いけれど、神様はいつも見ておられるのだから。
“Teacher” への2件のフィードバック
この本が初めて読んだ(正確には聞いた)Patricia Polaccoの本でしたが今でも大好きです。
http://www.storylineonline.net/
今でもちゃんと朗読が残ってました!
いい先生との出会いってありがたいですよね、彼女もこんな素敵な先生に出会えたから素晴らしい絵本を書いているんですものね。
ちあきさん、ブログまでお越しいただきありがとう!
もっとこの本の紹介に焦点を当てるべき記事ですよね、本当に素敵な本です。
私は Helen さんのワークショップで読み聞かせをしていただいたのがはじめてでした。ほぼ暗誦状態で、絵本の中に引き込まれました。
Story line に音源があるとは知りませんでした。いつも貴重な情報をありがとうございます!