I Walk at Night (Picture Puffin Books)
Lois Duncan,Steve Johnson,Lou Fancher
クリスマスを前に、厳かで凛とした本がほしくてアマゾンサーフィン?しました。この本は表紙に一目ぼれして申し込んだのですが、届いてみると中身もすばらしい。絵本を読みはじめてますます猫好きになった私です。
11月4日はマクレラン直子先生による、Wholisticな絵本の読み方のワークショップでした。その前に参加していた酒井先生の「こども式」は今の語学教育のありかたに一石を投じる意味で、こどもの母語獲得の過程を見直すものでしたが、直子先生はシュタイナー教育の理念から見た「絵本」というお話でした。
English Roomでは、子供さんたちが絵本を通して英語を身につけていく様子をリアルタイムで見れます。子供さんの育ちの過程に心のお食事としての「本」があり、本に触れ合う過程で日本語なり英語なりを身につける、というのがとてもいい結果に
結びついているようです。
直子先生がワークショップで取り上げられた一冊に Eric Carle の Very Busy Spider があります。農場に住む動物たちが次々と「遊ぼう」と誘いかけますが、蜘蛛は断ってもくもくと巣を張ります。暗くなってフクロウが飛ぶころ、蜘蛛は仕事を終えて柵の陰で休息します。
読むだけなら。これだけの話です。
でも、読み手にはもっと伝えることができます。
例えばアクティビティとして蜘蛛の絵を描きます。すると、おもったようにうまく描けません。ちゃんと8本足なのに。実は蜘蛛の足は頭の部分から生えているそうです。(知りませんでした!) さらに蜘蛛の巣は横糸はねばっているけど縦糸はそうではなく、蜘蛛は縦糸にそって移動する(ちなみに蜘蛛自身が横糸にからまることもあるんですよ)、とか、毎日張り直すものもいるとか、先生が先にリサーチすることで子供にいろんなことが伝わります。 この本のテーマは、人に餌をもらう farm animalsは遊んでおれても、Spiderは働かなければ食べられない、ということです。先生がそのことにさえ気づかづにページをめくって英語だけを読んだとしたら、たいへんもったいないことです。
酒井先生はOxford Reading Treeを例にとって、大人は絵を見ずに英文だけを理解しようとするが、りんごに例えると、「絵は果肉、文は種です。まず果肉を味わうこと、種は後で芽をだすものです。」とおっしゃいました。種だけ一生懸命たべるのは馬鹿だと。
直子先生は、子供は本当によく絵をみている。とおっしゃいました。ある子がVery Busy Spiderを見て、「最後にはあのフクロウが蜘蛛を食べる」といったそうです。ちなみに文字にはそんなことは書かれていません。こどもはすごいです。
私は本を通して英語を教えようとして、種を押しつけていたのではないかと反省しています。極端ですが、今週は生徒にORTの「絵だけ」を見せ、日本語でお話をしてもらいました。一人一冊好きな本を紹介してもらったら、みんなもっと他の本が読みたくなり、ほぼ一時間、CDをつかった聴き読みになってしまいました。3年前に、毎週読みなさいといって貸出を押しつけていたのとはえらい違いです。
直子先生が、ねこの purr(ごろごろと喉をならすこと)を知らない子供がいるとおっしゃってました。土や雑草を知らない子もいるようです。私も、海へ行ったことがない生徒さんをしっています。また、小さい時から読み書きを教え込まれ、難しい本も読めるのに、何が書かれているのか理解できない子が問題になっているとも聞きました。 小さい時にしかできないことに大人が気付かなければいけないですね。子供がりんごのおいしさを教えてくれます。
ちなみに私は猫と縁がなく、purrを聞いたことがありません。I Walk at Night に書いてあった、silken toe、触ってみたいですね。知らなくても絵本で感じられる、これもまた絵本のくれる幸せなのかもしれません。