Gaudia と日本語教室と英語

JUGEMテーマ:学問・学校

2013年より、小学生対象の国語・算数教室ガウディアを始めました。
それに先だって、中学生以上に日本語教室も開いてきました。
【何で英語教室で国語?】
英語教室を25年以上続けていて、つくづく思うのが英語力を付けるのには国語力が要る、という当たり前のこと。
英検3級程度まではテストに出るところを覚えれば合格できるのだけど、その先は母語の力の高さや思考力が必須です。
英検3級で日常、というか旅行に必要な程度のことは言える。
でも意見を言うには英検2級以上が目安だろうと思うのです。
合格のために単語帳を暗記するんじゃなくて、
自然に2級レベルの内容が理解できて、話せるようにしてあげたい。
英語教室としてごく普通の子にその域まで到達させてあげることを目標にしたいのです。
残念ながら、英語の先生たちは英検3級で頭打ちになる子に対して
「国語力の問題だよね。」
(だからこれは私の力の及ぶところではない。仕方の無いことだ。)
と考える人が多いようです。
私はそれが不満で、何とかならないか動いてみようと思ったのです。
【国語力って何?】
では、国語力はどうすれば伸びるか。
まず、国語力を語彙力と言語処理能力に分けて考えます。
良く言われる「本を読む」ことの大切さは語彙力と大いに関係があります。
本を読まない子、家族以外の大人と接点の少ない子、経験値の低い子は語彙が少ない。
狭い言葉の世界に暮らしているのだから子どものせいではないのだけど、
人間は言葉で頭の中の引き出しにものごとを整理していくのだから、
言葉は多い方が世界が広くなる。
実体験を伴うに越したことはないけど、本で体験できることもたくさんある。
語彙の多さは考え方や感性の多様性につながり、大人になって自由に生きるためには必須だろうと実感するのです。
そういう意味で、本を読むことは大事です。
そんな語彙力とは別に言語処理能力という観点があります。
専門用語で正しくはどういうのか分かりませんが、語彙力以外の領域です。
つまり、ことばがどんな成り立ちでできているかを客観的に理解すること。
さらに考えたことを伝わり易いように組み立てる力です。
ここは、本をたくさん読んだだけでは無理なところです。
【どんな事を学んで欲しいか? 小学校編】
ガウディアでは、小学校2年生で主語と述語の関係が分かるように指導します。
かなり大きい子でも実はここからつまづきが始まります。
述語の部分も「何だ」「どんなだ」を区別しますが、
最初は混同します。
さらに言葉どうしの修飾関係の分析。
そういう点を間違えて変な日本語を話す子はいないけど、自分の言葉の分析なんてしないですよね。
ッここが大事なんです。自分の事を見ることができる力。
教え込むのではなくて、自分の言葉に気づく力を育てる。
その方向性がガウディアの素晴らしいところだな、と感じています。
語と語の関係や、文構造を感じとれる感覚があると、
中学校で英語の文法理解にも役立つのは間違いありません。
算数・数学で文章題ができない事とも関連するのですが、ちゃんと読めないという問題もあります。
なんとなく感覚で読んでしまう。
国語の問題は、よく読めば必ず答えが書いてあるので、細部まで読む訓練になります。
このように客観的に言葉をとらえ、ちゃんと読む力が、英検2級になると英語でも必要になる部分です。
【どんな事を学んで欲しいか? 中学校編】
2つ目の分かり易く組み立てる力。
ここは主に中学生に指導します。
中学の日本語教室では水王社の塾専用「論理エンジン」を使って論理的に読む力を目指しますが、その裏返しに考えるのが論理的に言う・書くことになります。
言う・書くに関しては、福嶋隆史さんの国語シリーズが分かりやすい。
「たどる」「くらべる」「言いかえる」たった3つを使って論理的に思考をまとめることができます。
さらに、三森ゆりかさんの外国語との比較からひもとく論理的思考の仕方も大変役立ちます。
福嶋隆史さんと同じような論理を用いるのですが、外国語との付き合い方が書かれているからです。
例えば英語を教えるときに「直訳」「意訳」を使い分ける必要性がありますが、それぞれの目的を生徒にきちんと伝えられるようになります。 西欧系の言語は、1を伝えるのに10を言う必要があります。それに対して1をきいて10を理解しなくてはいけない「察し」の美学の日本語。 その差を使い分ける技術でもあります。
日本語と英語の違い、英語の論理については、横山雅彦さんの「高校生のための論理思考トレーニング」も素晴らしい。
「論証責任」「三角ロジック」。 日常英語話者と話していてもしょっちゅう聞く”Why?”の原因が良く分かる。
英語話者と同じ土俵に乗るために必要なスキルだと思います。
【これからどうする?】
みんなに日本語も個別に勉強していただくことはできません。
でも、日本語を教えることで自分の中に色々な言語的な素材が蓄積されるから、
英語のレッスンの中で伝えて行きたいと思います。
ここでは書いていないけれど、子どもが自分で学ぶ力を育てるための取組も両輪の片方として存在します。
上手く連動させて、英語教室という場を通してEducation(子どもの力を引き出すこと)を実現するのが本当の目的と言えそうです。 
万人がdriving forceになって世の中を引っ張ることはあり得ないけど、
自分に合ったところを自分の力で見つけて、人から求められる生き方ができれば最高なんじゃないかな?
そんなことを考えられる力は、人を幸せにすると思うのです。
そして言葉の力は考える力。
また、横山雅彦さんの本で一番感銘を受けたのは、現在の日本語の成り立ちに関する考察でした。
日本語、その言葉を作った先人のすごさを再認識させてもらいました。
今、英語熱が過熱状態になるにつれて、日本語の素晴らしさとその将来を心配する声が高まっています。
グローバル化して日本文化消失。
飛躍してるけど、目先の利益ばかりを求めるとそんな事態に成りかねない。
英語を仕事にしているからこそ見える点だから、大事に考えたいです。
英検2級をとろうねと言いつつ、小学校低学年で2級を取ったと自慢を聞けば、「それがなんやねん。」と毒づきます。
100点とろう!と頑張りながら、点数に夢中な子に「それがなんやねん。」と聞き返します。
価値観について、自分の頭で考えてみることもぜひ伝えたいところです。
とにかくやってみる。
勉強してみる。
色んな人に会ってみる。
そんな事を仕事にできているのはとても幸せだなと思います。
 

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