多読と黙音読

 
夕暮れを感知して町の明かりがつき始めると、15分ほどで真っ暗になってしまう。
秋の夜長、ちょっともの悲しいけど、読書がしたくなる季節がやってきました。
私はひさびさに長~いブログでも書いてみましょう。
先日英語教室へ多読に関するお問い合わせがありました。
日ごろから英語を使う機会が多い方で、英検準一級という相当な英語力の持ち主。
ただご本人は会話を含め、伸びが無いと感じておられます。
ネイティブの先生に相談したところ、「本をお読みですか?」と言われたそうです。
そこでネットで多読をしているEnglish Roomをご覧になり、連絡を下さいました。
自分は多読で英語が一皮むけたと実感しているので、
ご質問にお答えするつもりで、久々にMy wordsを綴ってみたいと思います。
何点かの御相談の中で、特に気になっておられるのが「黙音読」だそうです。
「脳内音読」とも呼ばれ、頭の中で英語の音声を再生する読み方です。
これ、最近勉強したところなので整理しときます。
(以下、慣れた言い方の脳内音読と言わせていただきます。)
脳内音読はすべきか否か…………………
これは2者択一では無く、その人の学習段階によって決まります。
例えば学習初心者~中級者なら、脳内音読は必須です。
英語はたった26文字の組み合わせでできた言葉なので、通常は音声化しながら意味を取るから。
特に子どもの学習者は、何語であれ音声化した自分の音を聴いてそこから意味をとっているそうです。
日本語には漢字があるので目で意味をとることは容易ですが、
小学校低学年向けのオールひらがなの文は、確かに声に出した方がずっと分かりやすい。
文字が単純だとかえって意味が取れないのは、そういう感じなのではないでしょうか?
ちなみに、脳内音読をしながら読書スピードを上げるには、シャドウィングが有効だそうです。
つまり脳内音読そのもののスピードを上げる訳です。
一方で、この方が気にされているように、脳内音読は英文の処理能力を下げます。
TOEIC900点攻略本に、「まず、頭の中とはいえ、音読をしないように」と書かれていました。
一度に目にして意味の取れるアイ・スパンを広くし、飛ぶように読まないといけない。
ちょうど、日本語で新聞を読む時のイメージです。
読書好きの人も、きっと本を読む時は音声化をしてないでしょう。
実は、脳内早口?のスピードの限界がブレーキになるので、目から直接情報を入れるほうがずっと速いのです。
どうすれば脳内音読がとまるのか………………………..
新聞を読む目的は、情報を得ること。
読書の目的はそこに書かれた筋をたどること。
ならば、速いほうがいい。 だから速くなる。
つまり音無しで意味がわかるのなら、どんどん音が消えていく。
推測するに、脳のメモリには限りがあるから、高速かつ大量に目に入った情報を音再生と意味どりの両方に使うのはしんどいはず。
ならば脳は楽しい方、つまり意味をとるのではないかな?
ここ、大事です。
問題集でたくさん穴埋めをしても速くならないですよ。
情報が欲しくなるもの、筋をたどりたくなるものを読むほうがいいのです。
こころが欲しがる情報があるとなれば、専門書だって速く読めるでしょう。
脳を動かすエネルギーは「こころ」なんですから。
これは最近柳瀬先生から学んだ「からだ・こころ・あたま」のお話しとも通じるところがあります。
多読をしていると、ある日、こんなことに気づきます。。
「あ、今私は英語で読んでるんやった!」
話しに夢中になる余り、言葉の壁を越えてしまう瞬間です。
何語かを忘れるぐらいだから、もちろん訳読もしていません。
「読解」というレベルで読んでいてはこの壁は越えられないんです。
言葉が運んでくれる世界にどっぷりつかり、気持ちが動く。
そのエネルギーで超える壁です。
多読でないとできないことは何?…………
「(学習者個々にとって)簡単な文」で書かれた「場面をともなう」文を「多量」に読むのが多読です。
まず、簡単だと訳さなくてもいいです。
訳さないで分かる、というのは英語から直接その場面や、情景を描けることです。
文脈があることも大いに役立ちます。
入門期の多読図書には挿絵が多いです。
むしろ絵がメインで英文は添え物。
先に場面と情景ありきです。
初級・中級レベルになるにつれて挿絵は無くなっていく。
読者が自分の頭で描けるからですね。
多読では個々の語彙や、文法事項も場面や情景、心象と一緒にインプットされます。
それを多量に続けると、今度は実生活でもその場面に対応した英文が出てくるようになります。
思わず自分の口から出た英文の意味を、日本語に直せない。
そんなことさえ起ります。
他にも利点があります。
漢字があるから日本語は目で読める、と考えました。
けれども、英語でも目で読めます。
例えば、主人公がいつも遊んでいるところ、という文脈で
in the park
と書かれていたら、多分目から直通で頭に公園の情景が浮かびます。
多量による慣れと場面の力。
抽象名詞はどうなんだろう。
…inspired by his word, I decided to….
きら~んと輝く後光が差すような彼と、「よ~し!」と頑張る気持あふれる自分。
そんな情景が浮かびます。
同時に、彼は何を言ったんだ?私は何をする?という興味も深々。
場面のない言葉はないですから。
私が単語帳が大嫌いなのは、場面がないからでしょう。
まるで抜けがら。
………………………….
多読の中には真理が見えます。
本当に大事なものは、見えないところにある。
無駄に思えるところが実は大事。
そして、
真理はひとを自由にする。
………………………………………..
ご質問にとりとめなくお答えを書いてみました。
多読、黙音読に関しては少しはお役にたてたかな?
書けなかったのは、準一級から更に伸びるには英語の論理が必要だということ。
これはまた話が長くなる。
前回(半年ほど前やん!)のブログでもテーマにしたけど、もっと具体的に話せるようになってきたと思う。
またことばにしてみたいと思います。


 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です